2025年、仮想通貨・Web3領域の中で「DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Network)」が注目を集めている。
その中核を成すのが、ユーザー自身がノードやハードウェアリソースを提供し、報酬を得る“DePIN型マイニング”だ。
本記事では、DePINにおけるマイニングの経済性・収益構造・認知度の現状を整理し、将来のユースケースや普及拡大に向けた仮説を立ててみたい。
✅ DePINとは何か?その基本的な思想
DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Network)は、物理的なネットワークやインフラ(例:通信、ストレージ、電力、位置情報など)をブロックチェーン技術を基盤にして分散化するというコンセプト。
従来の中央集権型インフラと異なり、個人が所有するリソースをネットワークの一部として提供することで、報酬(仮想通貨)を得る仕組みが導入されている。
代表的なプロジェクトには、Helium、Render Network、Grass、Nodle、そしてSTORKなどがある。
🔍 マイニング=物理的資源の提供による報酬
DePINにおける“マイニング”は、従来のPoW(Proof of Work)とは異なる。
- ストレージ:個人PCの余剰ディスク容量(例:Filecoin)
- 帯域:ネットワーク通信を提供(例:Grass、STORK)
- センサー/GPS:位置情報を共有(例:Nodle、Hivemapper)
- GPU:レンダリングリソースの提供(例:Render)
つまり、ユーザーの現実世界のリソースを提供 → 報酬が支払われる、という構図だ。
💰 DePIN型マイニングの収益モデル:分析と仮説
🧩 モデルの基本構造:
項目 | 内容 |
---|---|
ユーザー | 物理的リソース(帯域/GPS/電力等)を提供 |
プロジェクト | データやリソースをネットワークに統合し、報酬としてトークン配布 |
トークン | 初期はオフチェーン or ポイント、後にTGE(トークン生成イベント)で上場・流通へ |
🎯 仮説1:DePINの初期収益はトークン価値への期待が主導
現時点での多くのDePINプロジェクトは、報酬を「ポイント形式」で提供し、将来的なトークン上場・価格上昇を前提とした期待値で動いている。
したがって、短期的な利益よりも「将来のトークン価値」への期待がモチベーションの中心と考えられる。
➤ この点での課題:
- 流動性が確保されるか(上場・ユースケース)
- トークン発行スケジュールの透明性
- ユーザー獲得の持続可能性
🎯 仮説2:参入障壁の低さが認知度の広がりを左右する
多くのプロジェクトが「スマホ1台」「アプリを入れるだけ」で参加可能としているが、リテラシーの壁(仮想通貨用語、ウォレット設定、紹介制度など)が残っている。
DePINがマス層に広がるためには、以下のようなUX(ユーザー体験)の向上が不可欠だ:
- インストール → 稼働 → 報酬受取の導線をシンプルに
- 法定通貨換算やガス代ゼロでの引き出しサポート
- 「稼げる」以外の文脈(環境貢献・データ共有の価値など)の提示
📊 実際の収益性は?
例:STORK(2025年6月時点)
- Chrome拡張を稼働するだけでポイントが貯まる
- 現在は1日あたり5〜20ポイント程度
- トークン価値未確定のため、将来のTGEが収益化の分岐点
傾向として:
- 上場済みプロジェクト(Heliumなど)以外は、収益=トークン発行に依存
- 多くのプロジェクトが「無料で参加 → トークン配布 → 上場益」という流れ
📣 マーケティング戦略と認知拡大
DePINプロジェクトは現在、主に以下の手法でユーザーを獲得している:
手法 | 説明 |
---|---|
紹介制度(リファラル) | 2段階報酬などで拡散性を確保 |
SNS × エアドロップ | TwitterやDiscordを活用した「キャンペーン参加型」拡散 |
YouTube・ブログ発信 | 個人インフルエンサーの解説による信頼構築 |
課題:
- トークン発行前の「熱狂」が過剰になることで、実需との乖離が起きやすい
- ユーザーの継続率が低いと、ノードの安定稼働が難しくなる
🧭 結論と今後の展望:DePINマイニングは“行動資本主義”の入り口
DePINマイニングの収益性は、短期では不確実性が高いが、「あなたの行動や所有資源が、ネットワーク価値に貢献し、報酬に変わる」という新しい経済圏の扉を開いている。
今後は、
- トークン上場と実需のバランス
- 持続可能なインセンティブ設計
- 規制との整合性
といった観点で成熟が進むと予想される。
マイニング=電気代を払う行為から、
DePIN=生活インフラを活用して報酬を得る行為へ。
その転換点に、私たちは立っているのかもしれない。みなさんはどう考えますか?